■~「ジャポニカ学習帳」の立体商標登録から考える出願形態~

Published by in trademark on 8月 26th, 2014

 

少し前のニュースですが、このほどショウワノート株式会社の「ジャポニカ学習帳」が「ノート」では初めて立体商標として登録されたそうです。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1408/05/news126.html

「ジャポニカ学習帳」は、1970年から製造・販売されているとのこと。使ったことがないという方でも、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。私自身も使ったことがあるかは記憶にないのですが、確実に文房具店で見たことがあります。あのデザインは確かに個性的で記憶に残っていますよね。表紙のリアルで本格的な写真もインパクト大ですしね。
公報を見ますと、定期的に変更される写真の部分を除外した、「枠」のデザインでの登録のようですね。
*参考:商標登録第5639776号*
http://ogasa-pat.com/home/image/japo.pdf

ここで思うのが、「ノートのデザインに関するものなだから意匠登録じゃないの?」ということ。確かに、「デザイン」すなわち「意匠」といえば「意匠法」が頭に浮かびますよね。

しかしながら、意匠法で保護を受けるためには、先ず、新しいデザインであることが求められます。周知著名になっているデザインというのは、その時点で新しくなければならないという要件を満たしませんので、そのままでは意匠法では保護が受けられません。保護を受けるには、新たな創作的な要素を付加する必要があります。

一方、商標法は、商標に化体する(した)業務上の信用を保護する法律ですので、業務上の信用が化体しない識別力のない商標の登録は認めていません(商標法第3条第1項)。これに対して、自他商品等の識別力がない商標であっても、長年に亘って使用し続けていると識別力を有するようになることが経験的に分かっているので、商標法は、使用によって識別力を有するに至った商標については、例外的に登録を認めています(商標法第3条第2項)。

以前、こちらの「スーパーカブ、立体商標として登録へ」
http://ogasa-pat.com/?p=5578
の記事で、意匠登録出願をせずに公知になってしまったものの法的保護の価値がある形態については、商標法(立体商標)を戦略的に活用すべし、と述べたのは、意匠法で保護が受けられなくても、例えば、「ジャポニカ学習帳」のように、長年愛されて認知度が高くなり、そのデザインがショウワノート株式会社の製品であることを示すようになれば(識別力を獲得すれば)、商標登録が受けられるからです。この商標登録によって、競合他社は「ジャポニカ学習帳」に似たネーミングや似た表紙写真を使用していなくても、商標公報に記載された写真に類似した外観のノートは販売できなくなります。

商品のデザインだから「意匠」と決まってしまうものではありません。デザインが物品の機能に由来する場合、一般的には、特許法や実用新案法で保護を受けた方がベターです。特許法や実用新案法は、保護対象が技術的思想なので権利範囲にそもそも幅があり、物品の美的外観(見た目)を保護対象とするために権利範囲が狭くなりがちな意匠法と比べて、手厚い保護が受けられることが多いからです。また、商品等の形態が、自他商品等の識別力を獲得している場合には、不正競争防止法によって保護が受けられる場合もあります。

保護を受けようとする出願形態に迷ったら、先ずは、何を保護したいのかという点について考えて見ると良いと思います。デザイン自体の保護か、それとも業務上の信用の保護なのか、或いは、技術的思想の保護なのか。う~ん、イマイチよく分からない!と言う方は、弊所までお気軽にご相談ください

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